人気ブログランキング | 話題のタグを見る

恐るべきオヤジたち

恐るべきオヤジたち_b0131315_14165835.jpg

遅ればせながら読了。冨山氏・松本氏というすごいコンビによる「この国を作り変えよう-日本を再生させる10の提言」。日本にいたら立ち読みで30分~1時間で読めるんだが、シカゴにいるのでアマゾンで注文。なぜかスーパーMITSUWA内の三省堂にはなかった・・・

「世代間の利害対立」をキーワードに歯に衣着せぬツッコミをぶちかましているのが爽快。俺の忌み嫌う「品格ブーム」を第1章から一刀両断してくれているのも、実に気持ちがいい。ようやくコレをやってくれる本がでたか、と。「国家の品格」みたいなしょうもない本をオッサンたちが大喜びで読み、いや、読むだけならいいんだけど、会社の新人研修で使ったり、俺ら若手への説教に使ったりしているのは実に気持ち悪く、ウザかったねえ。既得権益を失いたくない団塊の世代。彼らの防衛本能を満たす潜在ニーズが非常に大きかったのが、あの本がバカ売れした背景だったのだ、と。

すげえのは、冨山氏も松本氏も「若い世代」というよりはもっと上のオヤジ世代のはずなのに、もう団塊の世代は余計なことするな、若い世代がリードできるように禅譲しろ、とハッキリ言い切っていること。本当はこの本、もっと若い世代の人間が書くべきものだが、コレをこのコンビにやられたのは痛い。まさに「おそるべきオヤジ」たちだ。その意味で俺ら世代も発奮されるよ、この本読むと。

長期ビジョンもった改革をしないと金持ちとか優秀な人材は海外に流れてしまう、というのもその通り。俺も金持ちでもないし天才でもないけど(笑)、日本でずっと暮らしたいという気持ちは薄れてきている。冨山氏が痛烈に日本のダメなところをクソミソにいう一方で、松本氏は将来への希望をこめたコメントが多いことも、バランスがよい(そういう風にしたんだろうけど)。

時間かけてデータ積み上げて、ロジカルな分析を経てようやく一行や二行、「よし、これなら皆の前で発表しても大丈夫。批判に耐えうる」事実解釈を披露する本ではない。論文じゃない。まっとうな分析を経ている論文はモチロン大事(トンデモ話に引っかからないためにも)。でもそういうのばっかり読んでいると、ついつい枝葉末節に目が行き過ぎて、重要なbig pictureを見失いがちになることも確か。

たまにはこういう「世の中をざっくり、大きなナタで切るような」、「メッセージ・オンリー」系の本を読むのもいい。ぐっとレンズを引いて世の中を大きな視野でとらなおすことができる。
ビジネス・スクールに来て、物事を鋭く分析する「カミソリ」のような分析力は着実に身についている気がするけど、Big pictureをとらえて自分の向かう方向を決断する(振り下ろせる)「ナタ」のような直観・判断力については、まだまだ修行が足りんなーという感じです。

少しでも面白い!と思われた方はポチッとお願いします!
ブログ王

  by helterskelter2010 | 2009-04-03 14:59 | Books

<< Spring quarterの授業 男性が一番住みたい都市:「シカゴ」 >>

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE