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CASSANDRA'S DREAM

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「CASSANDRA's DREAM」。2007年、ウディ・アレン監督。ウディ・アレン「ロンドン3部作」の最後。キャストがなかなか。ユアン・マクレガーがコリン・ファレル主役の兄弟役で、トム・ウィルキンソンが彼らの叔父役をつとめている。スコットランド、アイルランドなまりの英語がいいねー。派手な演出はなく、基本的に舞台のように役者たちの会話中心で進んでいく。まあ例のウディ・アレン節です。

最初の見所は、雨の中、木の下で兄弟と叔父が話し合うシーン。ユアンは事業をやりたくて、コリンはギャンブルですったカネを返済したくて、裕福な叔父にカネの無心をする。すると叔父から逆に頼まれごとをされる。彼はビジネス上の(おそらくイリーガルな)トラブルを抱えていて、彼のビジネス・アソシエイトが彼を告発しようとしている。それが公になったらビジネスは破綻、ムショにぶちこまれるハメになる。ビジネス・アソシエイトの口を何としてても封じなければいけない。「We must get rid of him」。つまりアソシエイトを殺ってくれ、と兄弟に頼むのだ。

このシーンの緊張感が素晴らしい。叔父はテンパってるし、コリン・ファレルは「そんなことはできない」と混乱する。野心家のユアンだけが、落ち着いて事態を理解しようと叔父に質問しつづける。後半は、殺人に乗り気のユアンと、どうしても踏み切れないコリンのやり取りが多くを占める。もちろん最後には悲劇が待っている(笑)。

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本作のコリン・ファレルはよいねー。情けないダメ男ぶりがぴったりだし、精神薄弱していくところなんかガチに見えるくらい。「ハの字」に曲がる巨大な眉毛が、その威力を如何なく発揮している。出身地のアイルランドなまりで話しているからか、非常に演技が自然だ。彼は「マイアミ・バイス」みたいなマッチョ系より、こういう役のほうがハマるんではないか。

そしてサントラを手がけるのはミニマル・ミュージック御三家の1人、フィリップ・グラス。もちろん大ファンだ。波のように寄せては返す旋律が延々と繰り返される「グラス節」が、劇中の兄弟の不安な心理をよく表現していて、観ているこっちもハラハラしてくる。
関係ないがグラスの作品でイチバン好きなのは「Koyaanisqatsi(コヤニスカッティ)」だね。80年代のカルト映画のサントラだが、映画とともに、神作品だ。映像と音楽の融合は、キューブリック・レベル。コレを学生時代に観た時の衝撃は忘れない。



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ブログ王

  by helterskelter2010 | 2009-06-16 01:06 | Movie

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