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ダブル講師によるぜいたくな講義

さてChicago Law Schoolの「Structuring VC, PE, and Entrepreneurial Transactions」

BoothのHarper Centerも素晴らしい建物だけど、このLaw Schoolもなかなかにカッコイイ作り。
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この授業が行われている教室「Lecture Room Ⅴ」は、かのオバマ大統領がシカゴ大在籍時代によく英米法のレクチャーに使用していた場所のようです。

教室の前にオバマ氏の写真が飾られてある
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講師はこの道のスター、JACK LEVIN。まず、経歴がハンパない。ケロッグMBAを優等(summa cum laude)で卒業、CPA試験でIllinois Gold Medalを受賞、ハーバードLaw Schoolも首席で卒業。おい、「出来杉クン」てのは現実にいるんだな。しかし、話してみるとテニス好きな気さくなオジサン。MBAの授業と同じように、ジョークを飛ばしながら軽快に話を進めていく。

LAW SCHOOLの授業がMBAの授業と違うのは、レクチャー形式が主なこと。MBAでもレクチャーはあるけど、生徒との対話もかなり多い。LAW SCHOOLは教授が一方的に話している時間の比率が多い気がする。それでもJACK LEVINは結構生徒に質問してくから、少しMBA寄りなのかもしれない。生徒も3分の1はMBA学生が占める(内容がPEなので)。

それより面白いのは、この講義はJACK LEVINともう1人、DONALD ROCAP(LAW SCHOOLのlecturerで、JACKと同じ弁護士事務所のパートナー)と2人で行っていくところ。おいおい、弁護士事務所のパートナー2人を3時間拘束するなんて、どんだけ高価な授業なんだと思う(笑)。基本的にはJACKが講義していくんだけど、事例を使って説明するときなんかに、となりに座っているROCAPを相手に掛け合い漫才のようにして事例を再現していく。

「俺(JACK)はVCだ。DONALDがアントレだとする。DONALDのアイデアに俺が1万ドル投資したい。どういう形で投資すればいいか?」
「(DONALD)そうだな、1万ドルをエクイティとして投資してくれ。そしたら会社の持分40%をやるよ。俺は60%をGET。」
「(JACK)おい、お前ナメてんのか。お前は会計の算数も、税法についても何にも分からないようだな。お前の頭が弱いのは分かったから、お前にも分かるように、これからゆっくり説明してやろう」


という具合に、基本的にDONALDがイジられる(笑)。でもこの方法、聞いている側としてはすごく分かりやすいんだよね。また、学生の質問に対しても、JACKとDONALDの2人が答えてくれて、その場で法解釈の違いについて2人で意見を戦わせはじめたりするから、刺激的だ。

毎週100ページ以上もテキスト読むのはしんどいけど、実践的なインプリにあふれているので、何とかついていきたい。それにしても何かLAW SCHOOLの学生たちはMBAの学生とはまた違う雰囲気を醸しているよね。
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  by helterskelter2010 | 2010-04-07 12:57 | Study

LAW SCHOOLの授業

前にも書いたかもしれないけど、「Structuring PE~」というLaw Schoolの授業を今期とることにした。BookstoreでCourse Packを見て即後悔。

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Course Packがダンボール箱1つ分なんて、初めて見たよ。信じられないので、本屋の兄ちゃんに本当にコレを買うのか、と確認してしまったほどだ。(これでも最近はマシになって、少ないほうらしい・・・・)
写真を見れば分かるとおり、開いたらもう返却はできない。ちなみに他の授業にも共通しているが、Course Packというのは、開けなければ所定期間内に返却してRefundもらうことができる。
まあ予習もしないといけないし、えいやとOPENしましたよ。

中身を見て再び挫けそうになる
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600ページ強あるCourse Packが、まとめて6冊なり。MBAの授業でも、参考文献とか結構まじめに読むから、授業1単位につき学期を通して合計1,000ページ(ケース含む)くらいは読んでいるけど、これはそんなレベルを優に超えている。Law Schoolの人たちは、みんなこんなREADINGの苦行を積んでいるのだろうか。法律の条文とか、Skimしても意味分からないし、これは困ったもんだ。マトリクスとかフローチャート、あるいは数式で表現してくれ~と思いたくなるが、この法律ってのも会計とかのように1つの言語なんでしょう。

最後の学期てのはみんな少なめに授業とって、旅行とかゴルフに興じるのがデフォルトかと思っていたのだが、そうはならなそうな今日この頃。あい、がんばります。
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  by helterskelter2010 | 2010-03-30 13:23 | Study

PUZZLEとMYSTERY

エンロンのケースはきつかったなぁ。オプションの組合せとかイマイチ苦手だ。Financial Instrumentsをとっておけばよかったか・・・

エンロン関連で面白いのがこの記事。国家安全保障の専門家、Gregory Trevertonの示した「PUZZLE」と「MYSTERY」の違いをテーマにしながら、エンロン事件とは何だったのか考察していく。

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オサマ・ビン・ラディンの居場所が分からないのは「PUZZLE」。ビン・ラディンがどこにいるのか分からないのは、その情報が十分に入手できていないから。彼の居場所を突き止めるカギは、彼の居場所について知る誰かからの情報提供にある。

他方で、フセイン大統領打倒後のイラクがどうなるかは、「MYSTERY」。コレには単純な答えはない。「MYSTERY」に迫るカギは、情報の多寡ではなく、状況の判断や不確実性の評価にある。

「PUZZLE」ととらえるか、「MYSTERY」ととらえるかで、その後の対応も変わってくる。9.11テロの動機を「PUZZLE」と考えるならば、対応としてはCIA要員を増やし、アルカイダに関してどんどん情報を収集していくことだ。そうではなく、「MYSTERY」と考えるならば、情報をこれ以上収集するよりも、むしろCIAの分析精度を上げたいと思うだろう。あるいはFBI、国防省等他の機関との連携を密にしたいと思うかもしれない。

エンロン事件は当初、「PUZZLE」だと思われていた。「情報開示が不十分で、うさんくさい取引を隠していた」んだ、と。しかしそうではないんだ、とこの記事は言う。SPVを使った取引について言えば、財務諸表を精査すれば分かることだった。実際、エンロンの利益が過大評価されていることに気づいた新聞記者は、別にエンロン内部の告発者から情報を得たわけではなく、財務諸表をじっくり読んで数字を照合することで事実を明らかにしたのだ。ウォーターゲート事件の「ディープスロート」がいた訳ではないのだ。問題は、このSPV取引がクソ複雑だということだ。SPV取引を分析したPower Reportというのがあるのだが、そのうちの1つの取引を分析するのに専門の教授でも数ヶ月を要したそうだ。

エンロンは数千のSPVを設立して取引を行っていた。問題が「PUZZLE」ならば、全てこれらの情報を開示すればいい。でもどうやって?優に数千ページを超える資料になるだろうし、分析も容易でない。情報を開示すればOKというレベルの話ではなくなっている。

だから、このエンロンの問題は「MYSTERY」なのだ。「PUZZLE」にはエネルギーと忍耐強さがあればなんとか対応できるが、「MYSTERY」に取り組むには「経験とインサイト」が必要だ。経験とインサイトをどう使うのか?という点については、本記事で紹介されている、第2次大戦中の連合国軍によるナチスの行動分析の事例を読んでみてほしい。非常に面白い。

コンサルとかバンカーのパートナー・MDクラスの人たちにも聞いた話だけど、こうも世の中情報にあふれていると、情報を集めているだけですぐに時間がなくなる。でも彼らが対応する問題(=仕事)は、「PUZZLE」ではなく「MYSTERY」に分類されるものがほとんど。必要な情報はある程度集めれば、それ以上集めることで得られる限界的な効果は非常に小さくなる。勝負なのは、上で述べた「経験とインサイト」。コンサルに例えれば「仮説思考」と言ってもいいのかもしれない。思えば俺も前職時代、1-2年目まではいろんな知識を吸収できて本当に楽しかったけど、3年目くらいからプロジェクトやってて色々「詳しく」なっていく感覚はあるけど、「インサイト」が得られる実感がなくなってきて、ああー仕事つまらんなぁ、と思い始めていた。調査プロジェクトがほとんどだったからしょうがないんだけどね。

MBAのケーススタディだと、与えられる情報はケースだけに限られているし、それ以上情報を集めることに時間は費やさずに、「経験とインサイト」に集中できるのがいいね。特に今回の「Cases in Financial Management」では、その部分がかなり鍛えられているのが実感できて、本当に楽しかった。ケースの醍醐味はコレですね。
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  by helterskelter2010 | 2010-03-11 17:12 | Study

Enron Case

Enronのケースをスタディ・グループで議論。「Cases in Fin Mgmt」でのスタディ・グループ・ミーティングもこれが最後だ。Enronがいかに巧みにSPV(特別目的会社)を使って会計上のリック・ヘッジを行ったかを分析。取引がややこしいのでフローチャート化は必須。Enron、こういうSPVを何千とつくっていたらしいから、それを分析した当局はさぞかし骨折りだったろう(もちろん重要なものに絞り込んでいるとはいえ)。

しかしFraudは問題アリだとしても、元McKinsey パートナーでもあるCEO Jeff Skillingの判断 ―パイプライン会社からAsset lightなMarket Makerへのビジネスモデル転換 ― それ自体はなかなか合理的な判断だ。既に大企業となっていたEnronで、そういう大転換をやってのけてしまえるのはすごいなと思う。まず日本の大企業ではありえないような経営転換だね。まあそのビジネスモデルを追求しすぎたためにあーゆうことをやるインセンティブが強化されていったともいえるが・・・日本にいたときは正直、エンロンが何をしていた会社なのかもピンときていなかったので、いい勉強になりやした。

エンロンの元CEO、Jeff Skilling。彼のお兄さんはシカゴ(WGNチャンネル)で天気予報士をしております(かなり人気)
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上記のSPVを使った取引は内実はイカサマまがいだが、実に巧妙に設計されていた。ワルヂエというのはすごいですな。税金の授業で教授が前に言っていた、「法制度は必ずLoopholeができる。安月給で働く規制当局のチームが規制を整備しても、その一方では高給インセンティブ&一攫千金に目を燃やしたバンカー、会計士、弁護士たちの軍団が山となって稼げる抜け道を探して日夜血眼になっているんだよ」。

イカサマまがいということで、サブプライムについてチームで雑談する(笑)。政府、銀行、格付け会社、等々・・・誰が決定的な犯人なのか?「銀行が7割悪いな」「は?あんなありえない商品を買う方も悪いだろ」「たしかに、金融商品として購入していた投資家・銀行もよく分からず購入していた。でもそもそも住宅ローンを購入していた貧困層を責めることはできないだろう」

メンバーの1人、Cの友人が実はサププライム・ローンのセールスマンをやっていた話を聞く。まあ話を聞くとすごいね。ほとんど詐欺まがいでローンを押し付け、住宅を買わせる。当時こういう連中のインセンティブ・フィーはすごいから、もうメルセデスSクラス乗り回してブイブイ言わせていた(死語)そうだ。しかも現場ではみんなバブルの終末もある予期していて、最後にうまく売り逃げることだけ考えていた。コールオプションみたいなもんで、Excessive Risk Takingをとるインセンティヴが常態化していたわけですな。個人合理性の観点から言えば、ごく合理的な行動だが、もちろん人には迷惑かかります(笑)。TVドキュメンタリーでも見たけど、実際に聞くと「うーむ、畳の上では死ねないようなことやっているなあ(アメリカ人だから関係ないけど)」と思うようなことが山ほど。

Cの言った言葉が印象的だった。
「It's all about Greed, man」
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  by helterskelter2010 | 2010-03-09 13:56 | Study

理論のスゴさ

さてMBA2年目になり、理論的にものを考える力がすごくついてきている---------気がする。
前に記事でChicago Boothは「Academic」ではなく「Theoretical」なのだ、と書いたが、その意味をより深く実感できている気がする。

理論的におかしいことは長続きしない。あるいは、理論的に説明できないことが生じる場合は、その理論が置いている前提を疑うべき。こう書くと当たり前な思考が、ケースによる訓練を通じてずいぶん自分の中で定着してきたように思える。これはMBAのメリットの1つなのかもしれない。

特に「Cases in Financial Management」が破格に面白い。教授がすばらしいのはモチロンなのだが、こういうケース主体の授業てのは、教授・ケースの内容・学生たちが三位一体となってつくりだすその場のVIBEがすげえ、重要だ。「Cases~」の場合、教授の志向と学生のモチベーションがぴったりハマっていて、本当に毎回授業に出るのが楽しみな場をつくっている。

あまりに面白いので、サボリ屋の俺もケースのみならず関連文献も熟読し、これまでにないくらい準備に時間をかけているんだが、それでも授業に出ると毎回必ず、自分が考えていたことの2歩も3歩も先を行ったインサイトを得る。みんなが絶賛するKaplanのPE授業をとっていない俺にとっては、今のところナンバーワンのすげえ授業だ。

毎回のケースでは、Valuation、配当政策、LBO、Recap、Restructuring、SPV等々のテーマがはっきりしていて、ケース準備のための課題も面白いものが用意されている。教授も相当ちゃんと準備しているのが分かる。まずはマトモなCorporate FinanceのToolkitで課題を解くのだが、必ずといっていいほど、ケースの結果(Real World)は俺が提示したソリューション通りに動かない(笑)。これが痛快。

「金融商品のPricingをやるのは楽しいよな?アレをロングして、コレをショートして・・・・でもな、大事なのは会社がそもそもナンデその金融商品を売ろうと思ったのか。そのコンテキストを理解しないとダメだ。CFOが何をしたかったのか。市場の反応をどう予測していたのか。Corporate Finance通りには理解できないことが必ず生じてくるが、それもこのコンテキストを把握すれば、解決の糸口がつかめるんだよ」

ブラック・ショールズ・モデルをいじりまわしていたら、あげくの果てにその前提としていたボラティリティが全く違った(平時と買収イベントがある異常時は全く異なる)とか、一見企業が市場にへつらうためにFinancial Engineeringを行ったように見えるが、それは敵対的買収者を退けるためのものだった、とかはザラにある例。

理論でまずは考え、理論で説明できないファクトについては、その場にいた人の行動動機や、理論が射程外としている変数の動きを考慮する。あらゆる事象を無理なく説明できる便利なツールとしてではなく、あくまでも試行錯誤できるためのベンチマークとして理論を使い倒す、という発想。これこそが「Theoretical」な思考なんだと。

およそ経済学という学問自体、こういう実践的な特質を有している。例えばMM理論てのは完全に効率的な市場(情報の非対称性ゼロ)を想定して、企業が負債で資金調達しようがエクイティで資金調達しようが、その企業価値は全く変わらない(=ピザのきり方を変えるだけで、ピザ自体の大きさは変わらない)ということを示したのだが、これだけ聞くと「ハア?情報の非対称性ゼロの世界なんてないでしょ」と思う。非現実的な理論だと思う。しかしそんなこたぁマートンさんもミラーさんも合点承知。まずは理想状態での均衡を想定して、現実世界でそれが反映されない場合、何がそうさせているのかその前提を1個1個みていくことに意味がある。資金調達の例を続ければ、負債による節税効果とか、増資が持つネガティブなMarket Signal効果とかが実は結構企業価値に効いてくることが分かるわけだけど、それも純粋状態でのMM理論をベンチマークしてこそ分かることなのだ。理論がなければ、混沌とした現実世界をどう考えればいいか、その思考の出発点すら持つことができないのだ。

思えば今とっているLuigi Zingales教授(ルイージ!)のPEの授業もそうである。VCによるValuationでは、大体割引率50%を使う。コレはえらい高い数値である。CAPMのレンジを飛び越えている。たとえVCのManagement FeeとかCarryを含んでも、割引率の理論的な上限はせいぜい30%くらいだ。でも50%がVCのRule of Thumb(経験則)で、実際にこれでうまくいっている。じゃあなんでこんなに高いのか?それは、投資対象がポシャるリスク(事業破綻リスク)を考慮しているからだ。マイクロソフトとかトヨタをValuationするとき、その将来キャッシュフローがゼロになることを想定することはまず、ない。でもVCが投資するベンチャー企業は7割以上の確率でポシャるのだ。この低い生存確率をカウントするからこそ、割引率は50%になる。普通のCoporate Financeでは導き出せない数値だ。

イタリア人はイケメン率高いですなあ。Luigi Zingales教授。
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「重要なのは、」Zingales教授は言う。「重要なのは、この割引率が成り立っている理論的根拠(この場合では生存確率の考慮)を理解しておくことだ。この理論を分かっていなくても、平時なら盲目的に経験則を信頼して50%を採用していれば問題ないだろう。でもコレが通用しなくなったら?経験則が通用しなくなったとき、その原因を分析し、修正できるのは理論を知っている者だけだ。理論を理解していれば、変数を追加・修正するなり、枠組みを変えるなりして対応できるはずだ。理論を理解していればこそ、環境の変化に対応でき、したがい競争に勝ち抜くことができるのだ」。

とまあ、理論の限界を理解しながら理論を使うことの有意義を、今更ながら実感してきている日々なのデス。この理論を重視した教育を、Chicago Boothは得意としているような気がします。そしてそれは俺の性に合っている。もちろん、アントレであれば理論そっちのけでIntuition勝負だぜ、という人も多いでしょうし、実際そういう「頭の中に鳥を飼っている人」が本当のブレークスルーを起こしている気もします。しかし俺のような凡人にとっては、俺の100倍頭のいい偉大な先人が四苦八苦して編み出した理論をベンチマークにしながら試行錯誤するほうが、致命的なマチガイを犯すリスクも低くなるし、物事を理解しやすいのです。

理論のスゴさを実感する日々。自然科学(重力の法則みたいな・・・)ほどではないが、社会科学だってそれなりに耐用年数が多いものはある。アダム・スミスが「国富論」を著したのは1776年。市場の原理は彼が指摘したものとさほど変わっていない(原理的には)。
東大大学院時代、労働経済の超有名教授がこう言っていたのを忘れない。

「ヘーゲルの理論は200年先を見通していました。ヘーゲルは19世紀前半に死去しましたが、彼の理論は200年以上生きたのですよ・・・・それほどまでに理論というのはすごい威力を持つものなのです。」

へーげる先生!「精神の現象学」は読みにくいYO!!
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肝心のヘーゲルの理論が何だったのかソッコーで忘れたが(笑)、教授のこの言葉自体はいまだに鮮明に覚えている。アホな俺はようやくChicago Boothに来て、理論の大事さを理解できた気がします。
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  by helterskelter2010 | 2010-03-05 16:55 | Study

Spring Quarterの授業

Spring Quarterにとる授業のBiddingのPhase1が終了。Phaseは6まであるが、まあ人気のある授業はPhase1でほとんど席が埋まってしまう。俺は取りたい授業全てを競り落とすことができ、満足。

Advanced Topics in Corporate Finance(有名教授Kevin Rock)、Cases in Corporate Governance(今期とっているCases in Financial Managmentと同じ教授。彼はあまりにもスバらしい)、と2つもCorporate Financeの授業をとる。

やはりCorp Finは面白いので。金融市場と企業活動の結節点-M&A、資金調達、Financial Engineering等-では、まさにInvisible Hand(市場)かVisible Hand(企業)のどちらが効率的なのかという根本問題、ファイナンス理論と企業の戦略論との絡み、理論できれいに説明できることと人の生々しい行動動機・判断とのかち合い、といったトピックが実に鮮明に現れ、スリリングに展開される。80年代後半の米国のケースとか、敵対的買収・LBO・アクティヴィスト・ファンドのオンパレードで本当に面白い。この市場の激動を経た米国の資本市場の奥深さも見える。日本でもLBOブームが来るぞ来るぞと言われてまただいぶ経つが、どうなるんだろう。

後はChicago Law SchoolのStructuring VC and PE。この分野では超権威のJack Levin教授の授業だ。やはりPEには興味があるし、法律面からの理解も深めたいと思うのでとる。ありえん量のReadingがあるらしいのが鬱。

それにしてもこのBidding System、一部の人気教授の授業にBidが殺到するのが恒例。Spring Quarterでは行動経済学で有名なThaler教授のManagerial Decision Makingの人気がすごい。通常5,000pointでも相当高いな、という印象だが彼の授業はすでにPhase1で10,000pointを優に超えた。匹敵するのはPEのKaplan教授くらいか。
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  by helterskelter2010 | 2010-03-04 13:43 | Study

CFOというのも面白い

「Cases in Financial Management」や「Entrepreneurial Finance & PE」を受けていて、CFOというのもなかなかに面白い仕事だなあと思うようになった。投資銀行でインターンをしている時も何が面白かったって、ビジネスと資本市場の間のダイナミックな関係だった。企業のとる経営戦略や発表がいかに株価動向に反映されるか。あるいは逆に、今の株価動向を見てどのような資金調達をどのタイミングで行うのが最適か。企業にとって最適なCapital Structureが何なのか、現金はいくら持てばいいのか(実はこれはコーポレート・ファイナンス理論からは直接導き出せないので、その場その場のビジネス・ニーズと市場期待を考えながら決めていくしかない)。

バンカーはアドバイザーという形でこういう問題の分析・ソリューションの提示を行うが、CFOは我がこととして自社の明日を左右しかねないような財務判断をガチで行わないといけない。俺の父親も企業の財務をやっていたが、今にして面白そうな仕事だということに気がつきました。遅っ!(笑)

CFOがらみのネタとしては、この間「Entrepreneurial Finance & PE」で扱ったケースが面白かった。ケーススタディではたいていディスカッションの後に実際にケースの当事者・企業がどうなったかの種明かしがされるのだが、この時はあるテレコム系ベンチャーの話(どうでもいいが、VC投資ではITだけでなくよく通信系の事業がでてくる。土地勘なさすぎて死亡です。NTTの友達にレクチャーしてもらわないと・・・)。

ベンチャーA社は首尾よくVCの投資をゲット。Pre-money valuationは800万ドルなり。設立3年後にはIPOを達成、なんとMarket capは10億ドルを超える。時は1999年なり。はい、テック・ブームのど真ん中です。市場は加熱している。CEOもCFOも自社株価はovervalueされているとは分かっていたが、IPOをゴールとして決めている企業が、最高の価格でIPOできるチャンスを逃すのもおかしい(VCからのプレッシャーがあるのはいわずもがな)。

さてIPOしたはいいが、周りの企業も高いバリュエーションをつけているし、成長のためのM&Aはさらに過熱化。低いバリュエーションだと他社に買収されるリスクが当然高くなる。ゆえにCFOは自社のバリュエーション(株価)を高めようと思う。株価は収益、期待成長率、割引率の3つで決まる。割引率をいじるのは難しいので、株価を上昇させるには大きく分けて2つの手段しかない(成熟企業にとって短期的な効果のあるRecapもありえるが、A社は成長企業なのこの場合は除く)。

①マジメに OR 不真面目に(不正会計・・・)収益を上げる
②強力なエクイティ・ストーリーを喧伝して収益の期待成長率を上げる


A社はベンチャーなので、もともと現状のバリュエーションも現在の収益でなく、大半は将来に期待されている収益が反映されたものなので、①は難しいし、がんばっても効果は薄い。現状の収益水準よりも、収益が今後高い成長率で伸びていくことを市場に伝える②の方が効果的だ。もちろん市場はアホではないので、「高い成長率を実現します」と口で言うだけではダメで、実際に実弾打って投資を実施しないといけない。そこでA社はガンガン投資して、まだ本業が安定しないのに新規市場開拓をしまくった。しかし大規模投資が完了したところでITバブルがはじけ、A社株価は奈落の底に落ちた・・・・

TECH BUBBLE
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こう言われるとアホな決断して自爆しただけ、という印象を禁じえないが、CFOも株価が過大評価されていること、市場が加熱していることは重々承知していた。CFOはChicago Booth卒業生なので実話を紹介された。「オカシイのは分かっているが、プレーヤーが全員、全力疾走で走っているときに『いや、俺は行かないから』というのは不可能に近い状況だった」という。しかも企業体力のある大企業ではなく、将来キャッシュフローで評価されているベンチャーにとってはなおさらだろう。スピードを落としたら乗っ取られるまでである。いかに資本市場からのプレッシャーが企業戦略の舵取りに影響を及ぼすかが身にしみる実例だ。あまりにもプレッシャーが強いあまり、不正会計に手を出す企業は後を絶たないくらいで・・・

もう1つ教訓めいた話としては、多くのベンチャー創業者は自分の株を売る前に企業破綻して、目も当てられない状況に陥ったこと。自己破産してもIRS(国税庁)の税金は逃れらず、一生税金の奴隷になってしまう人も(最近聞いた話でイチバン怖い)。他方、A社のCFO自身は企業破綻の前にいくらかは株を売っていて、それなりに資産を蓄えることができたらしい。もちろん規定上、IPO直後の高値沸騰の時には容易には売れないので、それからしばらくして少しずつ売っていたらしいが。当時のベンチャーは株価がグングン調子よく伸びているので、「いや、今売ったらもったいない。もう少し待とう。もう数ドル上がったら売るぞ」てなことを繰り返して、結局売らないまま破綻したケースも多いらしい。A社CFOはもともとA社に入社したときから、「リターンとして2,000万ドル程度を目指す」と明確にしていたので、まわりがセレブパーティーでドンちゃん騒ぎしたりコーポレートジェット買ったりと熱に浮かれていた中でも、冷静に市場を見ながら株を売っていたらしい(Chicago Booth生らしい・・・)。教訓として、教授は「売れるときに売っとけ。1000万ドルが500万ドルになっても、十分なカネだろ」と。まあそれはそうなんだが、それも難しいよね。バブルなのは分かっていても、それがいつ終わるのかは誰もわからないからバブルなので(分かっていたら、それは瞬時に株価に反映されてそもそも高値にならない)。
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  by helterskelter2010 | 2010-02-07 14:50 | Study

ニュー・スクール・マクロ経済学

マクロ経済学。復習のためにとったのだが、教授がかのGreg Mankiwのお弟子さんで、ニューケインジアンをベースに教えてくれるからなかなか良い。東大のときはしょっぱなケインズの消費関数やって、IS/LMやって・・・というオールド・スクールなマクロを教わっていたので、今回の授業では新鮮な学びが多い。教授の教え方はズバ抜けていいとは思えないが、経済学部以外の出身のMBA学生(弁護士、エンジニア、マーケター等・・・)を相手にこのレベルのマクロを教えていることを考えると、努力はしていると思う。なかなかいいのは、授業で取り上げるトピックに関連するEconomist誌の記事のReadingも課せられているところ。授業で学んだ理論によって、本当にこういう記事を「読む」ことができるようになる。Economist誌の記事は経済学のロジックをベースに書かれているので、背景にあるマクロ経済学の考え方が分かっていないと、何を言っているのか理解することができない。文章もコンサイス+ユーモア含む、なので読んでいて楽しい。「なぜ中国の成長率はこんなに高いのか?」「アジア諸国の貯蓄率が低いと何がマズイのか?」「バーナンキが金利を上げるとアナウンスすると、何が起きるのか?」なんてことを、経済学的な考え方で理解&説明することができるようになる。エコノミストにでもならない限り、マクロ経済学の知識そのものでメシを食うようになるわけではないのだが、前職時代(コンサル)でもこの手の話はお客さんとの議論で話題にのぼることも頻繁だし、やっぱ分かっとかないといかんなー、と思います。

他方、やっぱマクロは「マクロ」なだけあって、いろんな複雑な事象を大胆に集約した理論なので、どうしても「大雑把」になるところもある。TFPの議論とか・・・・これはしょうがない部分もあって、そもそも統計的にとれるデータポイントが年次データだと100年分(詳細なデータに限ると)くらいしかないので、精緻な実証分析が難しい。この点、やっぱファイナンスは有利だよね。それこそ市場取引のデータポイントを秒単位でとれる。株価データはうなるほどあるので、面白い統計分析がいろいろとできる。コンピュータが登場して、膨大な計算が可能になってから、ファイナンス分野も一挙に興隆した。Chicago BoothのFama教授(ファイナンス界の生ける伝説か)が、「ここ2,30年でもっとも成功した経済学の分野はファイナンスだろう」と豪語するのも、ゆえなしとはしないわけで。先の「精緻な実証分析の可能性」に加えて、ファイナンスは「実業界へのインパクト」もめちゃくちゃデカイという意味でも、「成功」しているのかもしれない。今でも投資銀行の現場ではCAPMに基づいてバリュエーションやっているし、オプション評価にはやっぱり(問題はあるが)ブラック・ショールズも良く使う。ファイナンスのテキストで学ぶ理論の立役者のほとんどがシカゴ大に在籍歴がある(本当にスゴイです・・・)ことを知ると、なるほどChicago Boothがファイナンスにプライドを持つのも無理はないな、と思う。
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  by helterskelter2010 | 2010-02-01 16:05 | Study

フィードバックあってこその評価

学校ではよく外部講師を招いた実務的な研修(エクセルとか、モデリングのスキル習得等)を開催している。とりたい人はカネ払って参加する。これまで受けた中では、「Training the Street」のファイナンシャル・モデリング研修はずば抜けて良かった。エクセル作業の効率性が2倍向上し、コーポレート・ファイナンスに関する実務知識もしっかりつく、という素晴らしいもの。

さて、この間もパワポ・プレゼンテーションの研修があったので、受けてみたのだが、うーむ、中身はイマイチだった。。たまにこういうダメなのもある。パワポの研修と言っているのに内容はほとんどエクセルだし(笑)、講師の説明も分かりにくい。学生が質問しても、対応が悪い。学生が「なぜここではこの関数を使うのですか?」と聞いても、「いや、これは現場でみんなそうやっているんだよ。そういうもんだから覚えてよ」と、ロジカルな説明を何もしない。実に不親切。初めてChicago Boothで研修をさせてもらえるベンダーだったので、不慣れだったのかもしれないが、それにしてもプロ意識がない。

研修後のフィードバックというのも必ずやっているので、率直に評価して返した。他に受けていた学生もみな相応の評価をしたのであろう、こないだ学校のAcademic Serviceからメールがきて、研修の代金をRefundしてくれるという。

「我々(Academic Service)は、学生のニーズを満たすプログラムを提供しようと日々努力しています。新しいベンダーを導入するときには、その内容が学生の期待に沿わないリスクを必ず伴います。残念ながら、今回はそのケースに当てはまってしまいました。このため、今回の研修費用はお返しします」

相当に研修の評価がひどかったことは想像できるが(笑)、この早いレスポンスには感心。前職の会社でも外部講師を使った研修はよくやっていて、中には本当にクソの役に立たないモノもあって、研修評価でもいろいろとコメント(もちろん建設的な批判を含めて)していたのだが、担当する人事部からはなんらフィードバックがなかった。研修費用を自分が払っているわけではないが、忙しい勤務時間を割いてみんな参加していたので、そこでヒドイ研修内容だとツライ。翻って本当にアメリカの学校の評価の反映はこわいくらいシビア。教授たちも授業評価されるので、大変だとは思うが、それゆえに授業のクオリティはある程度保証されている。
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  by helterskelter2010 | 2010-01-30 01:22 | Study

「武器」としてのバリュエーション

Prof. Gregory Nathanielの「Cases in Financial Management」が超面白い。かのラザード・フレール(M&Aで有名な投資銀行)のパートナー、その他PEのパートナー、石油会社のCEOなどを歴任してきた豪の者だけあって、授業もものすごい迫力。内容は実にプラクティカル。

基礎科目「Corporate Finance」では「教科書通りのバリュエーションはこうやるんですよ」ということを学んだが、この「Cases~」では、そういう教科書で載っているようなマトモなバリュエーション手法を使っても、前提の置き方でいかに大きく企業価値評価の結果が変わるかをケースで学ぶ。売り手であればより高い価格で企業を売りたいし、買い手であればより低いバリュエーションを出したいだろう。いかに自分の都合のよいようにバリュエーションをし、ロジカルに主張できるか。まさにバンカーに求められる実践的なスキルである。たしかに俺も投資銀行でインターンをしていたとき、有名MDが「Fair Valueがいくらかなんかは、考えない。顧客のためにどれだけいい値段を出して、それを押し通せるかが勝負なんだよ」と言っていて、衝撃を受けたが、まあ考えてみればそうだわな。学者からしたらどれだけ正確に価値評価できるかが重要なんだろうが、実際に取引を完遂しようとしている立場からすれば、バリュエーションも交渉のための重要なツールの1つなのだ。

これこそがバリュエーションのアートの部分で、実に面白い。βのとり方、エクイティプレミアムのとり方(標準的な教科書で提示されている数値でも3%~7%とレンジが広い!)、対象企業のレバレッジの想定、terminal valueの成長率、等々、裁量に任される部分があまりに大きいために、ある種「いかようにでも」数字はいじれる。教授の話し方もべらんめえ調で楽しい。「お前ら、コーポレートファイナンスで教授がこういう風にやれ、と教えてくれたからってそのまま鵜呑みすんなよ!Do what ever you want, but you gotta know what you're doin'!!」。明らかに他のアカデミックな教授とは雰囲気が違います(笑)。現場での泥臭い交渉、修羅場をいくつもくぐりぬけてきたからこその知恵があふれている。企業戦略のために、コーポレート・ファイナンスを「武器」として使いこなすことを意識した授業で、これぞMBAの真骨頂でしょう。他にとっているLuigi Zingales教授(超有名なヒト)のPEの授業もそうだが、ここにいたって本当にChicago Boothにきてよかった、と思う。1年目より負荷が多くて想定外に遊ぶヒマがないんだけど(笑)。

今回組んでいるスタディ・グループもすごくいい感じだ。インドのIIT出(!)のエリート・エンジニア、カナダ出身のバングラデシュ人、これまたエンジニアのアフリカ出身のWeekend MBA生。1つ良くわかったのは、優秀なヤツよりも、モチベーションが高いヤツがいたほうがグループはちゃんと機能するということですね(もちろんChicago Boothで優秀じゃないヤツなんてそんないないと思うけど・・・)。ファイナンスの「ファ」の字も知らなかった俺が、グループ・メンバーにバリュエーションのイロハを教えられるまでになったのも、感慨深いものです。がんばりませう。
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  by helterskelter2010 | 2010-01-19 07:08 | Study

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