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K先生

MBA留学先決定を東大大学院時代の恩師2人に報告。ご両名から祝福メールをいただく。そのうちのお一人、K先生は今、ある自動車メーカの世界中の工場を見て回っているらしい。「世界中」というのはマジな話で、昨年から欧州、アジアと飛び回り、現在は米国・カナダを中心に回るとか(全部で数十の工場はあるはず)。

K先生とは大学院時代、よく一緒に自動車メーカや自動車部品メーカを精力的に調査した。ズンズン歩きながら工場の隅々を観察し、鋭い質問を企業の方に浴びせていたエネルギッシュなK先生の姿が懐かしく浮かんだ。

「生産は流れ(flow)が命」というK先生の言葉に従い、僕は一生懸命見学した工場のレイアウト図をノートにメモし、機械やら工具の配置に注意しながら歩き回ったものだ。いわばMBAで習うオペレーションズ(生産管理)に似た内容を実践的に勉強させてもらっていたのかもしれない。機械と機械は工程順に合理的に配置されているか、生産性の差によるボトルネックはどこにあるか、従業員の動線は効率的に設計されているか、等々。まさに「神々は細部に宿る」よろしく、細かな部分を見逃さずに観察して記録した。それにしても夏の工場見学はきつかった。ヘルメットをかぶって、汗でぐしゃぐしゃになりながら(高熱の鉄鋼を部品の形に成形する)鋳造工場を這いずり回ったときは、死ぬかと思った。

K先生は僕に学者になることを勧めてくれたし、大学院で働けるポスト探しにも腐心してくれたけど、結局僕はビジネスに近いところで働きたい、という思いでシンクタンクに就職してしまった。それでも今でもお互い言いたいことを言い合える形でお付き合いさせてもらっているのは本当に幸せなことだ。先生はシンクタンクなんて「単なる使いっぱしりだ」、と言い切っていたし、またMBAについてもそれほど肯定的でなかったけど、まあそれはアカデミズムを追求する者にとってはそうなのかもしれない。(毒舌は行動にも表れていて、フランスの名門ビジネススクールのINSEADに客員として行った際、INSEADの教授たちにも議論で喧嘩をふっかけてきたほど)。

7月ごろにはまた日本に来ることもあるそうなので、またK先生と酒でも呑みながら口角泡を飛ばす議論をするのが楽しみだ。

  by helterskelter2010 | 2008-04-05 20:46 | Study

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