Microeconomics Day one
全体を貫く思想的スタンスが明確。さすがフリードマン、ベッカー等の新古典派の雄を擁した大学と思わせる。つまり、
1.人間は合理的に行動すると想定する
2.取引は価値を生む(商品・サービスの総量が不変でも、取引が行われることで皆の効用が上がる)
3.市場をリスペクトせよ
特に3。「市場の背後には多様で、膨大で強力なインセンティブが働いている。もちろん、市場を規制しなければならいこともあるかもしれない。でもその場合でも、市場の力を過小評価してはいけない。You gotta know what you're doing.」
これが正しいかどうかは別にして、1つの明確なスタンスに基づいて理論を説明されるのは非常にわかりやすい。結局、経済学も1つの「考え方」なので。これが曖昧で、何となくテキストをなぞるようにダラダラ説明されるような講義だと、議論も沸きにくいし、そもそもその理論のよって立つ前提が分かりにくいので、こちらの理解の妨げにもなる。
ああ、こういう講義を東大の学部時代に受けたかったな・・・学部時代は結局教授の話していることがチンプンカンプンで、仕方なく独習で済ませていたもんな(単に出来が悪いからだったかもしれないが)。しかも新古典派、マル経の本をまぜこぜに読んでいたから、よけい混乱した(笑。
理論の説明も、数式に偏ることはない。てゆうか数式だけ羅列するのは、説明したことにならない。数式もある考えを表すツールに過ぎないので、直感的な理解を促すためには、言葉や、絵や、グラフ等々の多様な表現方法で説明できるようでなければならない。それができないのであれば、それは分かっていない証拠。これはノーベル賞候補のK.マーフィー教授の講義でもそうらしい。彼の講義では数式はほとんどでない。簡単なグラフを書くくらい。あとはケースによる説明、学生との議論を通じて理解を深めていくやり方。すげえソクラテス的ですな。
学生がつまづきがちな初歩的な疑問・勘違いについても、先回りして解いてから説明を進めてくれる。俺も東大時代につまづいたんだけど、需要関数。関数表記だとQ=P(P)なんだけど、なぜかグラフだと必ずy軸を価格(p)にしている。つまりP=P(Q)になっている。なんでグラフだと逆関数なんじゃ。これだけで投げ出したくなった記憶がある。グラフのy軸を価格にするのは、偉大なマーシャルおじさんがそうした方がいい、って言ったからなんだって。マーシャルおやじ、100年後の俺らに迷惑かけるな。
需要・供給分析を知らないと解けない現実の問題もあるんだよ、と色々な事例を紹介してくれる。これは刺激的。理論を教えながらも、常に現実問題へ適用した場合の意義についても気づかせてくれる。抽象と具体の間を行ったり来たりする。紙に2つの線を書くだけでこんなに色々なことが分析できるのか、と非常に楽しくなる。分かっているつもりだったが、眠っていた脳の部分を呼び覚まされた感じ。
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by helterskelter2010 | 2008-09-30 07:33 | Study